うるさいぐらいの蝉の大合唱、はしゃぐ子供たちの声、滴る汗、
こんなにも夏を感じる日はなかなかないだろう。


それらを全て無視して、私はある場所へ向かう。


古びた木製の横開きのドア。


汗ばんだ手で思いっきり開く。


『翔ちゃーん!!来たよー!!』


「莉緒!!ドアは静かに開けろって言っただろうが!!」


顔を合わせて早々怒られた。


『無理ー!!』


「てめっ、、、」


何回言われても無理。ドアの向こうに翔ちゃんがいるって思うだけで。