一番近くて一番遠い

なんだか
一生懸命コーヒーを冷ます八重は
幼い頃を思い出させる。


しかし、あのころよりも
ものすごく背が高くなり
たくましい男になった八重が
コーヒーに息を吹きかける姿は
なんとも可愛らしかった。

「仕事大変?」

紗南はそんな八重に尋ねた。

「そりゃな。でもだいぶ慣れて来たし
takaさん給料結構くれるし。」

「そうなの?」

「そ。普通はアシスタントなんて
無給みたいなもんなんだけど
takaさん普通に給料くれんだよ。」



takaが
八重を褒めていたことを思い出した。



きっと、八重の仕事ぶりを評価して
takaは給料を多く出しているのだと
紗南は思った。

「八重が頑張ってるからじゃない?」

takaが褒めていたことは
内緒の約束なので
そこには触れないようにした。

「早く自立したいから毎日必死だよ。」

やっと飲める熱さになったのか
八重はまたコーヒーに蓋をして
口に含んだ。