一番近くて一番遠い

八重が自分の紗南に対する気持に
気づくのは高校2年の頃。

高校は別々になり
紗南はすでに高校生のカリスマとして
人気モデルになっていた。

どこにいても
嫌でも耳や目に入る紗南の名前。

すっかり遠い存在に感じていた。
相変わらず八重は
断る理由がなければ
女の子と付き合っていた。


自分のことを女好き、軽い男。
陰でそう言われているのを
八重は知っている。

別に誰になんと言われようと
八重の知ったことではなかった。

八重の
一匹狼的な所に惹かれる女の子は多く
遊びでいいから千葉くんと付き合いたいと思われる。

そんな恋愛が長く続くわけもなく、
だいたい5ヶ月続けばいい方だった。

ある日
彼女の部屋にあった雑誌が目に入る。
表紙には紗南と仲良く顔を寄せ合う男。

「これ誰?」

八重が彼女に尋ねる。

「え?SANAちゃん知らない?
カリスマモデルだよぉ?」

携帯をいじりながら答える彼女。

「そうじゃなくて、こっちの。」

ギャル男っぽい男を指差す。