一番近くて一番遠い

「…たいして好きでもないのに
付き合ってたの?」

「だって別に断る理由ねーし。」

「キス…とかした?」

「そりゃすんだろ?なんだよいちいち。
カンケーねぇだろ?」

苛立つ八重。

「そ…そうだよね。カンケーないよね。
ごめん。」

平然を装い笑う紗南。
でも心では泣いていた。

好きでもないのにキスした。
おそらく
八重のファーストキスだっただろう。
それが悲しかった。

紗南はずっと八重が好きだった。
それを今まで伝えなかった紗南は
この時後悔した。

もし、あの先輩の前に告白していたら
あの時、八重と付き合っていたのは
自分で
ファーストキスも
自分だったのだろうか。

そんな事を考えていた。

紗南は結局、八重に想いを伝える事なく
この気持に蓋をした。

そんな頃、街でモデルにスカウトされ
紗南は八重への想いから逃れるように
モデルの道を進み出した。