一番近くて一番遠い

ー中学2年生の頃ー

「ねぇ紗南、千葉くんと
本当に付き合ってないの!?」

この頃から既に
周りの子よりも
可愛さがズバ抜けていた紗南。
紗南と八重の家は隣同士なので
昔からずっと登下校は一緒だった。

だんだんと
恋愛に対して敏感になるお年頃。
校内では八重と紗南が
付き合っているなんて噂が立ち始めた。

「付き合ってないよー!
家が隣なだけ!」

紗南はそう言って否定していた。

この頃、八重は全く紗南に恋心なんて
抱いていなかった。
そりゃ
周りの女の子よりも可愛いと思ったが
好きとかそんな気持ちを意識したことがなかった。

「千葉くん、ちょっといい?」

八重は背が高く
中学2年生にしては
大人びている方だった。

女子にはすごく人気があった。
大人っぽい容姿から、上級生にも。

八重を呼び出したのは
3年生の中でも美人で有名な先輩。
クラスの男子に冷やかされながら
八重は教室を出て行く。

紗南はそんな八重の背中を
切ない表情で見ていたことを
八重は知らない…