一番近くて一番遠い

八重は迷った。
勢いで紗南だと言ってしまおうか…
でも、やっとこうしてまた昔のように
会話することができた。
この関係を
今ここで壊したくはなかった。

先日の外車男の件もある。
紗南とうまく行くわけがない。
そう考えた八重は


「さぁ。」

否定も肯定もしない。
曖昧な返事しかできなかった。

「さぁって。」

くすっと笑う紗南。
これでよかったんだと
八重は自分に言った。

「私ね、今やっと
本気で恋愛できそうなんだ。」

本気?その言葉に八重は引っかかった。