一番近くて一番遠い

信達とは反対方向へと歩く八重と紗南。
駅から家まではちょっと距離があったが
喋りながら帰りたいという紗南に合わせ
タクシーは拾わず歩く2人。
こうして並んで歩くと
昔の登下校を思い出す。

「いい友達だね。」

紗南はほろ酔いで
ブンブンと自分のカバンを
振り回しながら言った。

「まぁな。変わった奴らだけど。」

「八重さ、変わらないね。」

八重の少し先を歩く紗南が
振り向いて言った。

「今日話して安心した。噂でさ
色々聞いてたから…」

「軽い男だって?」

「…まぁね。」

「中学の時から俺はそんなだろ?」

紗南は少し考えて

「いないの?
今まで本気で好きになった人…」

そう聞いた。