午後までのバイトを信と終え
八重たちは凛に言われた店へ向かった。
ちょうど自分たちと反対方向から
ニット帽にマスクをした
脚の長い女が歩いてくる。

「もしかして!」

信が小声で「SANAちゃん!?」
と、八重に尋ねる。

「だな。」

紗南もこちらに気づいて
駆け寄ってくる。

「グッドタイミングだったね。」

店に入ると、すでに凛は到着していた。

「わ…ホンモノだ。」

いつも
雑誌やテレビで見る紗南を目の前にして
そのモデルオーラに
凛は少し圧倒されていた。

凛花の気遣いで
個室のあるお店だった。
紗南は帽子とマスクを取る。

「今日は強引に混ぜてもらって
ごめんなさい。
今日はSANAとしてじゃなくて
金本 紗南としてきましたー。」

久しぶりにちゃんと見る紗南の顔。
八重はあまりに
美人になっている紗南に驚いた。