一番近くて一番遠い

バイトの休憩中
そんな紗南のブログをチェックする
木下 信(きのした しん)20歳。
少しつり上がった切れ長の目。
ツーブロックの
アッシュブラウンの髪の毛。

「今日
SANAちゃん一日撮影だってさ。」

にこっと笑いながら部屋の隅で
男性ファッション誌を読む男に言う。

彼は千葉 八重(ちば やえ)20歳。
クールな顔立ちの少し長めの黒髪に
ゆるいウェーブをかけて
今日は後ろで一つに結んでいる。

「あっそ。」

信の言葉を軽くあしらい
雑誌に没頭する。

信と八重は
都内にある服飾専門学校の2年生。
入学式で意気投合し
信の勧めで2人の憧れのブランドの
バイト面接を受け見事仲良く合格。

信はメイクアップアーティスト
八重はスタイリストを目指している。

「でも、やっぱりすっげぇよなぁ。
幼馴染がモデルなんてさ!」

信はブログの写真を眺めながら言った。

八重と紗南は家がお隣さん同士。
よちよち歩く頃からの幼馴染だ。

「そうか?」


興味がない。
八重はそういった表情で
さらっと受け流す。

だが、八重は内心イライラしていた。
SNSやブログで知りたくなくても
耳に入ってくる紗南の日常。

テレビをつければ嫌でも目に入るCM。

八重にとって
それは決して面白い光景ではない。

八重は紗南を大切に思っている。
そう。幼なじみ以上の感情で。