紗南が中学3年生の時…

「すみません
わたくしこういう者ですが。」

友達と街を歩いていたら
怪しげなスーツのオトコに
声をかけられた紗南。
名刺には某有名事務所の
名前が書いてあった。

話をすると
どうやら本物の事務所の人らしい。

雑誌のモデルを
やってみないかという言葉に
興味本位で始めることになった
モデル業。

自分が雑誌に載る。
そしたら八重は少しでも
幼馴染以上の目で
自分を見てくれるだろうか?

そんな気持ちで始めた。

最初はちょっとした後ろの方の
商品宣伝ページに載るだけだった。

しかし、読者から「この子可愛い!」
「もっと見たい!」
などといった反響が多く
紗南は徐々に
先頭ページに載るようになった。


高校に入ると紗南はギャル雑誌の
モデルになった。
髪を金髪に染め派手なメイク。
当然高校側はいい顔をしなかった。
先生との話し合いの末
高校を辞め、通信制に切り替えた。

もともと仕事が忙しく
学校に通う時間もなかったので
紗南にはちょうどよかった。

時々やりとりする
中学の友達とのメール。
その中で八重の噂が耳に入る。

周りからは
軽いオトコと言われているらしい。

朝、自分の部屋から外を見ると
学校へ向かう八重の姿が見える。
その姿を見て悲しくなる。

メールをすることはあったが
そっけない内容しか返って来ない。

八重は自分のことを
なんとも思っていない。

諦めなきゃ。そう思っていた。