「ラストまでだから10時。」

「あたしもラストまでなんです。
よかったらそのあとご飯行きません?」

ニコッと笑う女の子。
しかしその後ろにSANAのポスター。
なんだか後ろめたい気分になった八重。

「…わりぃ今日はやめとく。」

気づけば誘いを断っていた。

「えー残念。じゃあまた今度。
絶対ですよ!」

明るく言って
彼女は休憩室から出て行った。
普段誘いを断ることなんて
よほどのことがなければしないのに。
SANAのポスターのせいで
調子が狂う八重だった。

SANAのポスターを
見つめながら考える。

この間の外車の男は彼氏だろうか?
紗南は女遊びをする自分を
どう思うだろうか。

紗南への想いを断ち切ろうと
色んな女の子と遊んではみるものの
こうして否応無しに
目に飛び込んでくるSANA。
断ち切ろうにも断ち切れない。