一番近くて一番遠い







身支度を整え、紗南と八重は
タクシーに乗り込み
紗南の事務所へ向かった。

以前はどこへ行くにも変装をした紗南。
もう紗南はサングラスをかけたり
帽子をかぶったり
マスクをしたりはしない。
堂々と八重と歩く。
紗南はこの日を待ち望んでいた。

事務所の社長室へと向かう。
社長室に入ると
マネージャーもそこにいた。

「あれ?なんで…」

紗南が不思議そうに
マネージャーを見つめる。

「俺が電話したから。
お久しぶりです。」

八重は社長とマネージャーに
深々と頭を下げた。

紗南はわけもわからず立ち尽くす。

「やぁ。久しぶり。
紗南とここへ来たって事は
うまくいったのかな。」

社長はニヤッと笑った。
社長は
紗南をモデルにスカウトした本人だ。


「ちょっと、社長!?
どう言うこと!?」

社長は椅子から立ち上がり
八重と握手をすると
紗南をなだめるように
ソファーへ誘導した。