一番近くて一番遠い

「これ、私の南と八重の八から
取ったの?」

八重は少し赤くなって笑った。

「私が八重を挟んで離さないみたい。」

紗南がクスッと笑う。

「俺の願望。」

八重が照れ臭そうに
咳払いしながら言った。

紗南はそんな八重が可愛くて
思い切り背中に抱きついた。

「多分、マネージャーと
社長の説得が大変だと思うけど
私がんばるね。」


自分の腰に回された
紗南の細い腕を握り


「大丈夫。
説得は俺がきちんとするから。」

そう言った。
八重の背中は
3年前とは比べ物にならないくらい
頼もしく見えた。

紗南はその頼もしい背中に
全てを委ねるように身を預けた。