一番近くて一番遠い

「悪かった…
でも、こうして戻って来た。」

八重は紗南から視線をそらさない。

「わ…私、3年間誰とも付き合わないで
八重だけを待ってた。」

「…じゃあ問題ないな。」

八重はそう呟いて
メガネを外し、紗南の顎に手を添えると
くいっと自分の方へ向けて
ゆっくりと懐かしむように
紗南の唇に自分の唇を重ねた。

八重を殴ってやろうと
ずっと思っていたのに
その柔らかいキスに
全てどうでも良くなってしまう紗南。

唇が離れると目の前に八重の
綺麗な顔があった。
その瞳は一層熱を帯びて
紗南を痛いほど見つめてくる。

「もう…離れたくない。」

紗南は泣きそうになるのを
必死に堪えながらそう言った。