一番近くて一番遠い

「紗南…」

八重はそう言って
ガシッと紗南の腕を掴み
勢い良く部屋の中へ引っ張った。

紗南は部屋の壁に押しやられ
八重は壁に手をついて紗南を見つめる。

八重の熱のこもった視線に
紗南は顔が真っ赤になり
身動きが取れなくなる。

「また綺麗になったな。」

眩しいものを見るように
メガネの奥の目を細める八重。

「八重は色っぽくなりすぎ。」

紗南は少しうつむいて瞳をそらした。
八重の瞳が
あまりに熱を帯びていたからだ。

「3年前、本当はあの時
モデルを辞めてでも八重のそばに
いたかったのに…
八重はそんな私を無視して
勝手に消えたのよ。」

紗南はぎゅっと拳を握った。