八重の来日予定日。
紗南は仕事を終え
メモに書かれたホテルを訪れた。

もうすぐ日付が変わろうとしている。
この時間なら確実に部屋にいるだろう。
紗南は高鳴る胸を押さえて
ホテルへと足を踏み入れた。

八重の滞在するホテルは
都内でも有名な高級ホテル。
八重がこんな立派なホテルに
滞在するほどになったなんて…
紗南はそう思いながら
エレベーターへ乗り込む。


エレベーターのドアが開き
八重の部屋まで歩く。
部屋が近づくにつれどんどん高鳴る胸。
やがて八重の部屋の前へたどり着く。

疲れて寝ているかもしれない…
少しためらいながらも
部屋のベルを押す。


ほどなくしてそのドアが開いた。

目に飛び込んできた
3年ぶりに見る八重の姿。

モデルの紗南でも見上げる長身。
相変わらずゆるいウェーブのかかった
少し長い髪…

シャワーを浴びた後なのか
少し湿っていてそれが
紗南を見下ろす顔にかかって色っぽい。
銀縁の丸いメガネ。
その奥の瞳は驚きに丸くなる。