「紗南の勝ちかな。」

それを陰で聞いていたtakaが
ひょこっと顔を出す。

「taka…」

「絵里ちゃん、わかったろ?
絵里ちゃんが今まで
手に入れて来たものは
全て親父さんのおかげで
手に入ったものだ。
欲しいものはなんでも手に入れる。
それは結構な心がけだが
それを自力でやれなきゃ
意味がないんだよ。
実際、そんな力じゃ手に入らないもんも
あっただろ?
八重がそうだよ。
あいつはどんなに脅されようと
自分の信念は曲げないよ。
だから全てを失う方を選んだんだ。」

takaはそう言って絵里の手を取った。


「ほら、来いよ。ほっぺた冷やさないと
腫れちゃうぞ。」

そう言って紗南の方へ一瞬顔を向け
ウィンクした。
絵里は無言でtakaに引かれるまま
現場を出て行った。