一番近くて一番遠い










takaの元を去った後
八重は紗南の帰りを
家の前で座り込んで待っていた。
ポツポツと雨が降り出し
やがて雨脚は強くなった。

遠くから車のヘッドライトが
八重の目の前を明るく照らした。
タクシーが紗南の家の前に止まり
足早に紗南がこちらへ駆け寄ってくる。

「八重!?なにしてるのこんな所で!?
いつからここにいるの!?
ビショビショじゃない!」

紗南が傘の中に
地面に座り込む八重を入れる。

「紗南…わりぃ。」

八重はそう言って力強く
紗南を抱きしめた。

紗南の持っていた傘が地面に転がり
紗南も八重も雨に打たれる。

「俺…
お前の脚を引っぱってばかりだ。」

八重の声は震えていた。

「ねぇ、なにかあったの?」

紗南は八重の頭を抱きしめる。

「紗南…別れよう。」

そう言いながら
紗南の背中に回した手に力を込めた。

「どういうこと?」

紗南は動揺を隠せない。