一番近くて一番遠い

「八重、お母さんに
私と付き合ってるって
言ってくれてたんだね。」

紗南はソファに座った。

「ああ
昔からお袋の口癖だったんだよ。
紗南ちゃんと
付き合えばいいのにって…」

八重はあくびをしながら言った。

「え?」

「お袋、お前のこと
昔から可愛い可愛いって言っててさ。」

「そ…そうなんだ。」

紗南は照れる。


「俺、顔洗ってくるから
ちょっと待ってて。」

八重が部屋から出て行くと
紗南は部屋を見渡す。
きちんと整頓された雑誌やCD。
家具もセンスがいいものばかりだ。
幼い頃はおもちゃで
溢れかえっていた部屋。
今ではすっかり面影がない。