ーおはよー

要件がある時だけ
八重に送っていたメール。
挨拶だけのメールを
これでもかと言うくらい
絵文字をつけて送信する。

ーおはよー

たったその3文字だけの
八重らしい
そっけないメールが返ってくる。
紗南はその画面を見て
ついついにやける。
もうただの幼馴染ではない。
八重の彼女になったのだ。
こうやって
他愛ないメールを送れる存在。
ずっと憧れていた八重の彼女に…



いつもと同じ景色も
なんだか違って見える紗南。
自分が八重を想うように
八重も自分を想ってくれている。
そう思うだけで、全てが明るく見える。

いつになく嬉しい雑誌の撮影。
ただ、公にできないはがゆさが
紗南にも八重にも
つきまとうことになる。

相変わらず、現場では
八重にまとわりつく絵里。
そして今日のカメラマンは健。
お互いに相手の動向が
気になって仕方ない。

「千葉さん
お食事に今度行きませんか?」

現場に紗南がいるからだろうか。
絵里はいつになく八重に積極的に
声をかけてくる。

「俺、そーゆー暇ないんで。」

八重は紗南の痛い視線を感じながら
ぶっきらぼうに答える。
その反応が面白くない絵里だった。