「そのあと
健さんを好きになったのは本当。
でも、1年前にきっちり振られてる。
坂本さんがわざと噂を流したの。
私が八重を好きなの勘付いたらしくて。
坂本さんは八重のことを
好きなんだって…
凛花がこの間、撮影で坂本さんが
八重に近づいてたって教えてくれて…
私もう誰かに八重を取られるなんて
嫌だった。」
紗南はぎゅっと自分の服を握った。
「八重が私を見てくれなくてもいい。
でも、気持ちを伝えたくて…」
その瞬間地面に
カランと八重のコーヒーの缶が落ちた。
紗南はそのコーヒーを見つめる。
気づけば自分は八重の胸に
抱き寄せられていた。
「ごめん。」
紗南は“ごめん”の意味を
NOの意味だと受け取った。
無理だとわかっていた気持ちの行方。
わかっていたのに涙が溢れてきた。

