部屋で雑誌を読んでいた八重。
携帯が鳴っている。
画面に表示されているのは紗南の名前。
八重は電話に出るのをためらう。



鳴り続ける携帯。
八重は渋々応答ボタンを押す。

“出るの遅い…”

紗南の不機嫌な声。

“仕事中だったんだよ”

“嘘つき。あたし今八重の家の前だもん”

八重は慌てて部屋の外を見る。


確かにサングラスとマスクをつけた
紗南が家の前でこちらを見上げて
立っていた。

“怪しすぎんだろ。ストーカーかよ…”

“なんとでも言いいなさいよ。
ね、八重少し出れる?”





この状況で断るわけにもいかず
八重は紗南の元へ向かった。