「千葉さん、最近コーディネート
よく任されてますね。」
絵里の香水の匂いが漂う。
「…まぁ。」
「千葉さんのコーディネート
すごく好きです。個々のモデルに
ちゃんと似合うスタイリングで
評判いいですよ。」
「どーも。」
八重は少し照れたような顔をした。
「なーにデレっとしてんのよ。」
ドスの効いた聞き覚えのある声が
背後から聞こえた。
八重は慌てて振り向く。
「凛花!」
そこには冷ややかな目で絵里を睨む
凛花が立っていた。
凛花はしばらく見ない間に
別人のように痩せて綺麗になっていた。
「そっか。
今日のメイク担当北川さんだったな。」
凛花は北川 麻美のアシスタントだ。
八重は久しぶりに見る凛花に
笑顔がこぼれる。
「北川さんのアシスタントの方と
お知り合いだったんですね。」
八重と知り合いと知り
媚びる笑顔を凛花に向ける絵里。
凛花は絵里を怪訝な顔で見る。
「やぁちゃんに近寄らないでよ。」
凛花は絵里の評判の悪さを知っていた。
八重の手を取って
自分の方へ引き寄せる。
「え…ひどーい。」
眉間にシワを寄せて
ぶりっこ全開の絵里。
「おい凛花…」
八重が絵里に気をつかう。
「嫌よね。男って女の裏の顔
ちっとも理解してないんだから。」
そう言って八重を睨む。
八重はわけもわからず困惑する。
絵里はこれ以上
凛花と関わりたくなかったのか
その場を立ち去った。

