一番近くて一番遠い





食事を終え、マネージャーに別れを告げ
紗南は部屋へ戻ろうとした。
部屋のノブをつかんで考える。
紗南の足は八重の部屋へと
向かっていた。


八重の部屋の前で立ち止まる。
ノックをしようとすると
ちょうど部屋のドアが開いた。

「八重。」

ドアを開けた八重を見上げる。
八重は紗南を見て一瞬戸惑った。

「あの…ね。さっきの事なんだけど…」

「よかったじゃねぇか。」

「え?」

「あいつの事好きなんだろ?
あいつもお前に気があるみたいだし。
よかったな。」

八重が冷たく言い放った。

「あのね!誤解なの。私確かに
健さんの事好きだった時期があったけど
振られてるし…」

「いいよ。別に俺には関係ないから。」

関係ない。
この言葉を言われたのは2度目だ。
紗南の心が痛む。