一番近くて一番遠い


「何すんのよ!」

紗南が健に噛み付く。
健はニヤッと笑って

「紗南、あいつの事好きだろ。」

そう言った。

「そ…そんなこと…」

紗南が動揺する。

「昔俺に向けられてた視線が
他の男に向けられてるんだ。
誤魔化せるとでも思う?」

意地悪く笑う健。

「わざとやったのね?」

紗南は再び健を睨む。

「俺の後釜があんなアシスタントだから
面白くなくて。」


「サイテー。私のこと振ったくせに。」

「俺はそーゆー男だよ。
俺の上っ面しか見てなかった
紗南が悪い。」

そう言って紗南の頭をポンポンとなで
健は自分の部屋へと戻って行った。


「紗南どうかした?」

部屋から出てきたマネージャーが
紗南を不思議そうに見た。

「サイテーよ!あの男。
なんであんな男好きだったんだろ。」

紗南はあの意地悪い笑顔が
頭から離れなかった。