「でもな。それを避けていたら
いつまでたっても俺みたいな
一人もんだぞ?」

八重はそらした瞳を
再びtakaに向けた。

「不器用でもいい。
恋愛はした方がいい。
たとえ自立したとしても
お前みたいなやつは
さらに上を目指したくなるもんだ。
きりがないんだよ。ゴールなんかない。
恋愛はしようと思って
するもんじゃない。
もし、その時に好きなやつがいるなら
当たって砕けてもいいって覚悟で臨め。
どうせ失うなら
気持ちは伝えてから失うもんだ。」

takaの言葉は
凛花を思い出させた。
凛花も八重に振られることを
薄々感じながらも気持を伝えて来た。

「仕事で成功したら
彼女を作るなんて考えるなよ。
お前は成功したらもっと高みを目指して
延々その思いに
つきまとわれるんだから。」

どうやらtakaと八重は
似ているようだった。


takaは昔の自分を見ているようで
八重の考えが手に取るようにわかった。

八重はテーブルに置かれたキャンドルの
ゆらゆら揺らめく火を見つめた。
まるで自分の心を見つめるように。