一番近くて一番遠い






夕方ということもあり
道が多少混んでいたものの
時間より少し早く到着した2人。

「なんか食べる?」

紗南がタクシーか降りて八重に尋ねる。

「いや…俺は…
お前が食うなら付き合う。」

紗南と八重はカフェに入った。

「ねぇ…もしかして八重…緊張してる?
飛行機苦手とか?」

タクシーの中でも
なんだか様子がおかしかった八重。

「んなんじゃねぇよ…」

そう言いながら
少し動揺を隠せないようだった。






「まさか…飛行機初めてとか?」

「…」

「なんだね。」

八重はふいっとそっぽを向いて頷いた。
紗南はふっと笑う。

「大丈夫だよ!
右足から乗ればいいんだよ。」

「バカにしてんだろ…」

「ふふ。だって八重ビビってるから。」

「ハワイ着いたら覚えとけよ…」

「そんな体力があるかな?」

「…!?そんな怖いのか!?」

「ふふふ。怖くないよ
絶叫マシンじゃないんだから。」

そんな時
紗南たちの後ろを
家族連れが通り過ぎる。

4歳くらいの男の子が

「ママー!はやくひこうきのりたい!」

とテンション高く言った。

「見て。
あんな小さい子が喜んでて、なんで
こんな大人が怖がってるのかな?」

ニヤニヤしながら紗南が言う。

「こ…怖くねぇよ。」

八重はそう言いながらも
憂鬱そうだった。