一番近くて一番遠い

ただ、今更この気持ちに気づいた所で
八重にはどうすることも出来なかった。
紗南へのメール送信画面を開く。

ー表紙のやつ本当の彼氏?

そこまで打って消す。

ー話がしたいんだけど会えるか?

そこまで打って消す。

結局八重はメール作成をやめた。

モデルになって人気が出たから
紗南に近づいたと思われたくない。

もう紗南は遠い人間だから。
そう言い聞かせるしかなかった。

この日から
八重は彼女というものを作らず
女遊びをするようになった。
紗南への想いを消すように。

ただ、彼女を作らないのは
もし紗南に「彼女は?」
と聞かれた時に「いない。」と
答えられるように。

心の何処かに淡い期待があったからだ。