病院へついて早瀬くんは緊急手術室に運ばれた。
「……」
「……」
沈黙が続く。
「おい、鮎原手のロープまだ取れてねぇぞ?」
えっ?
手をみてみるとロープでまだ拘束されていた。
焦りすぎてロープを外すことさえ忘れていた。
「あっ、本当だ…」
「…とってやる」
「うん、ありがと…」
中津くんはロープをほどいてくれた。
手首にロープの後がくっきりと残っていた。
「ごめん…」
中津くんが謝る。
「え?何で謝るの…?」
「俺、最初から見てたんだ…全部」
そ、そうだったの?
「全然気付かなかった…」
「たまたま焦って走っていくあいつをみて後つけたら鮎原が人質に取られてて…。
でも、俺怖くて助けられなかった…ッ
それに鮎原のためにあんなに殴られても抵抗しないあいつをみて羨ましくなった。
俺、確かに鮎原のことは好きだけど
あいつには勝てる気がしねーわ…」
中津くん…。
「…私も、私のためにあんなに殴られてる早瀬くん見て心が締め付けらた。
それに、もっと早瀬くんのこと好きになったの…。
愛しくてたまらないの…」
好きと言う言葉よりは、
愛してると言う言葉の方に近いかもしれない。
「そっか…。
俺、妹の迎えあるから帰るな?
また何かあったら連絡して…」
「うん…じゃあね。
いろいろありがと」
中津くんは手を振って帰っていった。