鉛のように重い心に針が刺さる
刺さった傷口からは血が滲むようだ
「ないない!私、盛大に間違えたし」
空元気がバレないように笑い飛ばせば
“そうかなぁ?”と彩乃は首を傾げた
「…それに、私は踊れさえすれば何でもいいって!踊るのが楽しいんだし、場所とか内容とか気にしないから」
思ってもないことを口走った
確かに、踊れさえすれば何でもいい
けど、気にしないはずがない
事実、こんなにも苦しいのだから______
帰宅してから私は家族に
オーディションの事を話すことはなかった
いつも通りに振る舞って
オーディションの事について聞かれないかと
ビクビクした


