「柚希、おめでとう」


片付けを済ませてから
私は柚希に声をかけた

ちゃんと私、笑えてるかな?

鈍い痛みの残る胸に手を当てて
何ともないように振る舞う

私の隣では、彩乃と由妃が
興奮したように称賛の言葉を述べた


「ありがとう」


柚希は私に何も言わなかった

でも、その方が助かる

敗者が勝者にかける言葉はあっても
勝者が敗者にかける言葉は
妬みの種にしかならない


「でも、若葉も惜しかったよね!私、若葉も受かったと思ったもん!」


彩乃の言葉が胸に刺さる