学校に着くと、ほとんどの女子は恋バナをしている。
最近流行ってるなぁ。恋バナ。
正直、私は恋とか、恋バナとか、あんまり興味ないんだよね・・・。
さっきの由結の話とか、普通の事しか言ってあげられなかったし。
「彩海!ねぇ聞いてー!」
「どうしたの?」
「澤田先輩と浅野先輩、どっちがイケメンだと思う!?」
なんだ。 また、恋バナ?
「んー、顔は澤田先輩かなぁ・・・」
もちろん、適当。
「ほらぁ!やっぱりー!! やっぱり澤田先輩がイケメンだよねっ」
朝からよくそんな話できるねー。
先輩とか、分かんないし。
・・・直人先輩。
な、何で私、直人先輩の事考えてんの・・・。
恋とか興味ないってばっ!
なのに・・・。
昨日の、あの笑顔が忘れられない。
何で? 何でなの?
もしかして、これが恋なの?
いや、そんな訳ない。 あるはずがない!
でも何か、スッキリしない。
由結に相談してみようかな。
「ねぇ・・・・・・由結」
「どうしたの?」
由結はすぐに返事をしてくれた。
うわー。 言えるかなぁ・・・。
「あの、さ・・・・・・。 恋って・・・・・・、どんな感じ?」
やばい、やばい。 恋してるって思われちゃうかな・・・。
「恋はね・・・。 彼を見てると、胸がいっぱいになって、話してて楽しいって思えて、目が放せなくて、一緒にいたいって思うのが恋。 好きな人は特別。 って、あたしはそう思う!」
おぉ、すごい正確。
参考には、なったかな?
胸がいっぱい。 楽しい。 一緒にいたい。 それが、恋。
でも直人先輩は、会って間もないし、楽しいって思ったことも1度もないからなぁ。
やっぱり、私の勘違いか。
「ありがとう、由結!」
私は、満面の笑みでお礼を言った。
「何、彩海。 もしや、好きな人いるの・・・!?」
・・・っ!!?
「ちっ、違うよ! ただ私は、恋してる人の気持ちがよく分からなくて」
「ふぅん。 でも、何か言いたい事があったら言って! 親友、でしょ?」
何もない。 何もないけど、由結の言葉にじわっときた。
「うん! ありがとね」

・・・そう、恋は、私にはまだ早いよね。