「ピピピピピピ・・・」
「カチッ」
ふわーぁ。 眠いなぁ。
昨日は良く眠れなかった。
直人先輩のあの笑顔が頭の中でグルグルしてて。
こんな気持ち、初めてで、よく分かんないや。


「いってきまーす!」
「いってらっしゃい」
と、お母さん。
あー、今日も暑いなぁ。
「あ! 彩海ー!」
「由結! お待たせっ」
いつもの待ち合わせ場所に立っていたこの女の子は、私の親友の田中由結ちゃん。
この子は、気弱な私を助けてくれたり、悩んだ時には相談にのってくれたり、悲しい時は励ましてくれたり・・・。
大好きな親友なの。
「ねぇ、そういえばさ。」
「ん?」
「彩海って、好きな人とかいるの?」
な、何を言い出すの!?
「え?好きな人? 今のところ、いないかなー・・・」
「そっかー」
「由結は、いるの?」
そう言った瞬間、由結は顔を赤くして言った。
「い、いるよっ」
私は驚いて、目を丸くした。
由結、いたんだ。 好きな人・・・。
「えー!? だれだれ?」
「絶対に、誰にも言わない?」
「言わないよ!」
由結は口を私の耳元まで持ってきた。
「3組の、大野拡輝くん・・・っ」
大野くん。 確か、サッカー部のエースだったよね。
「大野くんかぁ! 私、いいと思う!」
「だよねー! 優しいし、カッコイイし、運動神経抜群だしっ!」
まぁ、確かにそうだね。
大野くんの事は、よく分からないけど。
「私、由結の恋、応援するよ!」
由結は、目をキラキラさせた。
「本当!? ありがとう! 私、頑張る!」
こんなに必死に頑張ろうとする由結は、初めて見た。