先輩。〜初めての恋〜



「ザァァァ・・・」
雨降ってるんですけど。
「やべー。 オレ傘持ってねーな」
「あ、私、折りたたみ傘持ってますよ」
って、えぇ!? 何言ってんの私っ!!
まるで、相合傘したいって言ってるみたいじゃない!
「お、本当か?」
私はそっと折りたたみ傘を出した。
「バサッ」
先輩と私は、2人で1つの傘に入った。
う、うわー。 緊張する・・・!
「家どこ? 送ってってあげるよ」
「え、そんな! 悪いですよ・・・」
「いいんだよ。 女の子を家まで送るのなんて、当たり前だよ」
そう言って、先輩はまた微笑んだ。
ドキンッ
あ、まただ・・・。
不思議な気持ち。
今日の私、ちょっとおかしいな。
暑いせいかな。
しばらく無言で歩いていたら、私の家が見えてきた。
「あ、家、ここです」
「おう。 じゃあ、またな!」
ズキ・・・
今日はここでお別れ、なんて思っていたら、今度は心が痛くなってきた。
「先輩・・・!」
気づけば、私は先輩を呼び止めていた。
「名前・・・・・・教えてください・・・!」
本当、何言ってるんだろう。
「鈴木直人。 君は?」
「永井彩海って言います! ち、中2です!!」
落ち着け、落ち着け。 いつも通り・・・。
「ははっ。 学年はさっきのノート見れば分かるよ。 彩海って、面白いな」
"彩海"
急に名前で呼ばれると、私は焦った。
「す、すみません! てか、ありがとうございます。 家まで送ってくれて・・・」
何で私謝ってるんだろう。
「いいんだよ。 あと、オレ、彩海のこと気に入ったわ!」
直人先輩は、ニカッと笑って、雨の中走って帰って行った。
傘、貸せば良かったな。
そしたらもっと・・・・・・
いや、いいや。
もっと仲良くなりたいな、なんて。
直人先輩の背中を見ているうちに、いつの間にか雨は止んでいた。