「里奈、屋島君に同窓会するから来て欲しいって話したんだ。すると、屋島君の答えが…」

そこで葵は一呼吸を入れた。

「『菜緒や連たちも来る??』ってさ。」

ケラケラと葵が笑う声が耳に響く。
私は葵が笑っているとき、頭の中に里奈のムスッとした顔を浮かべていた。

「里奈さ、『誘ってみる。』って言ったらしいよ。そしたら、『菜緒や連たちが来るなら行くよ。』って屋島君に言われたらしくて…菜緒の親友である私に連絡が来ました。そのときの里奈の顔が怖くてさ…連れて行くって言っちゃったんだ。』

葵はまだケラケラと笑いながら話していた。

「なんか、行きたくなくなった…。」

私がそう呟くと電話の向こうで葵が必死になって頼んでくるので、私は出席することにして電話を切った。

本当は里奈のことだけではない。
葵の言葉に連が出てきたからだ。
少し気が重い...。
連はきっと来るだろう…。
たぶん、遼や大倉君に嫌でも連れられてくると思う。

私はしばらく店の前で、黒くなった携帯の画面に映っている情けない自分を見つめた。

卒業して5年が経った。
連は今何をしているのか私は全然知らない。
どこにいるのかも知らない...。