すると、連は

「撮った写真全部ほしい。」

と言い、その後に「お金は払う。」と付け加えた。

「いいよ、お金は。」

私は苦笑いをして言うと、連はまたニカッと笑った。

不思議だった。

普通に連と会話が成り立っていた。
昨日まで2年間話さなかったのに、私は連と何もなかったように普通に今話していた。
そして、連も同じように私に話していた。

「何で?ソラの写真ほしいの??」

私はノブを回しながら連に聞いた。

―カチッ。

「菜緒が毎日見ているから。」

私は、ゆっくりと連に顔を向けた。
連も私に顔を向けていて、そして笑った。

「菜緒を見ると、いつもソラを見ている。菜緒と付き合いだすまで、俺はソラなんてあんまり見なかったんだ。でも、身近な人の癖ってうつるのかな?俺、菜緒と付き合いだしてからソラを見るようになったんだ。それは別れた後も変わらず。」

私はゆっくりと記憶を辿った。
前、真由に連のことをどう思っているか聞かれたときの記憶を思い出した。
あのとき、離れていたけど連は運動場で空を見上げていた。

「多分、違うんだよ。俺から見るソラと菜緒から見るソラ。」

連は自分を指差して私にも指を差した。

「菜緒から見えるソラを見たくなった。」