準基side


今日の試合はあまり楽しくなかった。
いろんな女の子達からの応援は
勿論嬉しかったし、
涼介は今日も調子が良くて、俺も体調が悪かったわけでもない。でも…

「ねぇ、聞いてる?」
「え、あぁ…ごめんっ、何やった?」
「もぉ…だからね?……」

今、俺の隣にピッタリくっついて話すマネージャーの話は全く耳に入らなくて、
ぼーっとしてしまう。


「あっ、ちょっと忘れ物したから先行ってて!」
「え、話途中…、もぉっ!」

引き止める声が微かに聞こえたし
俺も今何をしてるのか分からない。
でも体が勝手に動く。

ピタッと俺の足が止まったのは教室の前…。