それからの毎日は、後悔に苛まれながら生きた。彼女は遺書も残さず、私たちが通う星蘭高校の屋上から飛び降りて亡くなった。現場の状況などから見ても自殺で間違いないと言われた。自殺の原因は他の人にはわからない。でも私にはわかる。

彼女が自殺する数日前、私はマネージャーとして参加したサッカー部の合宿中に入学当初から好きだった宮村隼人(みやむら はやと)から告白され、付き合うことになった。そしてそのことを1番の親友である彼女に報告した。その時彼女は複雑な表情を浮かべ、小さな声で「おめでとう」とだけ言った。

いつもならもっと大げさに喜んでくれるはずなのにと違和感を感じたのだが、次に彼女の口から出た言葉によって私はすべてを理解した。

「実はね、私も隼人が好きだったんだ」

私はずっと彼女に頼っていた。だから私は彼女に相談し協力してもらっていたんだ。隼人と付き合えるように。だからまさか彼女が隼人のことを想っていたなんて知らなかった。そのことを私に告げた後、彼女は悲しそうな笑みを浮かべて言った。

「でもね、私は沙希の方が好きだから…。だから応援してたの。良かったね」

その言葉を聞いて私は安心し、絶対に幸せになろうと思ったんだ。だけど、彼女が死んでから私は一度も幸せだと感じたことはない。きっと彼女は傷ついていたんだ。私が彼女の好きな人を好きになったりしなければ、付き合ったりしなければ、彼女は死ぬことはなかっただろう。