今日は晴れ。
暑いけれど私は晴れが好き。嫌なことは空をみていたら忘れられる気がして。
名前は黒峰凛。中学3年生。
私は声がでない。
声がでなくなったのは極度のストレスだと、病院の先生は言う。声は出ないけど勉強は嫌いではないからあまり困ることはない。
そんな私にも好きな人はいる。
「りーんー!昨日の課題みしてー!」
このうるさいのが私の好きな人。
同じクラスの赤城奏。
奏はよく喋る。
声が出ない私とはまるで正反対。
奏は男子にも女子にも人気がある。
いつもなにかと私に絡んでくる元気な男子。
いつものように、すかさずメモ帳を取り出しそこにさらさらと文字を書く。そしてそれを奏に見せる。
((いつも見せてばっかりでしょ?たまには自分でやってみればいいよ。))
奏はそれをみて困ったように笑った。
「だって俺、この勉強苦手なんだよ。凛。頼む。」
必死に頼まれてしまった。だけど負けるわけにはいかない。ここで見せたら奏のためにならないからだ。
そしてまたメモ帳に言葉を書く。
((やり方を教えてあげるから自分で解いてみて))
奏は元気よく頷いて私の書くものをじっと見ている。
ー10分後。
「すっげーわかりやすかった。さすが凛だなっ!」
キラキラの笑顔が目に映る。
奏は私にお礼を言って自分の席に戻って行った。
