【独りで生きていけないってわかってるなら、たまにはなついてみたらどうだ?
ずっとちゃんと餌をくれるやつだっているはずだよ。】

思えばえっちゃんのケンちゃん話はしょっちゅう聞いていたが、
私の話をすることはなかった。
聞かれても適当にはぐらかしていた。

もしかしたら私はえっちゃんをずっと苦しめていたのかもしれない。

今まで心を開ける友人なんていないと思っていたのは、
自分が最初から心を開く気がなかったからだ。

こんなことを思えるようになったのもオジサンのおかげ。

えっちゃんは残りのケーキを一口でほおばり、まだ少し怒っていた。

私はちょっとだけ勇気をだした。