鈴芽 ~幸せのカタチ~

『わざわざありがとう』
一瞬驚いたような顔をしてから、微笑みながらハンカチを受け取った。

やっぱりその笑顔はどこか力なさげだった。

『君は学生?』

『はい。T大学の三年です。』

『頭いいんだな〜』

『そんなことないですよ。オジサンは?
いつもここでサボってるんですか?』

冗談っぽく聞いてみた。
だってオジサンはいつもスーツだったから。