鈴芽 ~幸せのカタチ~

そう、私たちはまだイチローの小さな
アパートに住んでいる。

私が働けなくなったので、引越しは先延ばしになった。

私のお腹には小さな命が宿っている。

『全く予定日すぐなのに。
鳩にえさやりにいってる場合じゃないだろう。』

イチローは私より心配性でいつも気遣ってくれる。

『鳩にじゃないわ。雀によ。

ここであなたに出会えたのも、雀のおかげよ。


私もあなたなしじゃ生きていけないし、

あなたも私なしじゃいきていけない。

そしてこの子も、私たちなしじゃ生きていけない。

雀に感謝して餌をあげるのは当然でしょ。』



『そうだな。

スズメの、家族だもんな。』