鈴芽 ~幸せのカタチ~

そう言って病室を出て行った。

イチローとすれ違うときポンッと
イチローの肩を叩いた。

『ありがとう!お父さん!』

私の声は父に届いていただろうか。

父が出て行ってしばらくすると、

『スズメ。』

イチローが私を抱きかかえ、
車椅子に乗せた。

『イチロー!』

『スズメ!』

私たちは力いっぱい抱き合った。

イチローの腕が苦しいくらい
とても力強かったが、

もっと、もっと抱きしめてほしいと思った。