『あなた、先生を呼ばなきゃ。』

母が私の手を握りながら言った。

『あ、あぁ。そうだな。呼んできてくれ。』

母が出て行くとすぐに、父がイチローに言った。

『すまんが今は出て行ってくれないか。』

どうして?イチローは私の大事な人なのに。

声にだして言いたいのに、まだうまく声がだせない。

『分かりました。
失礼します。』

イチローは私の顔をみて微笑み、病室を出て行った。