鈴芽 ~幸せのカタチ~

『少しお時間いいですか?』

二人は病院内の喫茶店へと向かった。

確かよくスズメの口から「えっちゃん」という
名前を聞いたことがある。

この子ということはすぐわかった。

『スズのご両親は知らないんですね、あなたのこと。
スズはあなたの子供をかばったんですか?』

えっちゃんが怒ってることはイチローにも分かった。

『あぁ。スズメのご両親にはあくまで、助けてもらった
娘の父親として会ってる。』

『スズメって呼んでるんですね。
やっぱり特別なんだ。』

そう言ってえっちゃんはうつむいてしまった。

だからさっきあんなに驚いたのか。

『あの、君の話はスズメからよく聞いたよ。』

イチローが言うと、えっちゃんはすごい勢いで顔をあげた。