鈴芽 ~幸せのカタチ~

3日たっても、一週間たっても
スズメの意識は戻らなかった。

スズメの両親がつきっきりだったので、
病室には入ることができず、
なかなかスズメの顔を見ることができなかった。

スズメの病室の前をうろうろしたり、
遠くから病室を眺めていた。

スズメの病室から誰かが出てきた。

お父さんでもお母さんでもない。

その人物と目が合ってしまった。

まっすぐこっちに向かってきて話かけられた。

『あの、スズが言ってたおじさんですよね?』

そういえば事故のあった日、手術室の前に
いた子だと思い出した。

『君は、スズメの友達?』

一瞬驚いたような顔でイチローを見た。

『はい。井上えつ子です。
あの、例のおじさんなんですよね?』

『あ、あぁ。そうだよ。
本名は鈴木だけど。』