鈴芽 ~幸せのカタチ~

この女の人はなんて強いんだろうと思った。

私には、私を見てくれない人を思い続けるなんてできないだろう。

『彼は変わったわ。
あなたが彼を変えてくれたのかもしれない。

それは悔しいけど、
それを承知でお願いするわ。

お願い。
あなたなら、今からいくらだっていい相手が見つかるわ。
でも理名の父親は彼1人なの。
お願いします。』

聡子は私に頭を下げた。
『理名ちゃんの名前を出すのは卑怯ですよ。』

私の精一杯の反論だった。

『それも承知でお願いしてるわ。』

聡子はどこまでも強い女性だった。