森を抜けると、此方側で行われている戦の全貌が見える。
きっと長州側の主力戦力は奇兵隊、高杉さんたちもいるはずだ。
松「あっ、彼処に!新選組の隊旗が!」
ら「みんなそこにいるはずです!」
抜刀して草っ原を駆け抜けていき、陣の方へ向かっていく。
松「俺は戦に加わります!」
ら「了解、戦況把握でき次第わたしも加わります。」
ら「誰か!」
そう言って陣に入ると永倉さんが出てくる。
腕を怪我したみたいで治療した跡が残っていて、戦況の悪さを雰囲気で感じた。
永「おい!らん、てめぇ…」
ら「永倉さん!戦況は?」
永「……五分五分、いや…押されてる。」
ら「分かった。」
新撰組がここまで押されているのは、この戦が初めてだ。
長州からすればもう後がないから、必死なんだろう。
永「副長と沖田、斎藤、藤堂はいま戦に出てる。
言っとくが、いまの戦況は良くねぇぞ?」
ら「承知してます、永倉さんもご武運を。」
永「らんもな。」
そう言って陣を出ようとすると
ら「そこで何してるんですか?」
奥の方で固まって…多分徳川軍の兵たち大勢が座り込んでいる。
「いや、俺たちは待機命令が出てて…」
は?
こんな時に、指示を待つ馬鹿がいるの?
ら「いまの戦況わかってますか?」
「それは、わかっているのだが…。如何せん、指示なくては我々は動けないのでな。」
そう言って、平然とぺらぺらと言い訳をし始める。
「そ、そうなんだ。俺たちは、幕府の軍であって、藩軍ではないからな。」
「まぁ、ほら新撰組もいる事だし俺たちなんて役にたてやしねぇしな。」
「というより、女なんかが戦いったら取っ捕まえられてヤられて終わるぜ?
止めとけって!」
「ふん、なんなら俺たちの相手でもしてくれんのか?」
ゲラゲラした下品な笑い声が耳元に近ずいてくる。
ら「…ざけんな!!!
私たちが幕府の為に戦ってんのに直属の軍がへらへらへらへら、あんたら死ぬのが怖いだけだろ!?」
「なっ、無礼な!」
「黙れ、その口塞いでやろうか!?」
ら「いま、仲間が死んでる、顔も合わせた事のない人の為に。
それ位、その、ちっぽけな頭で考えれば分かるよね?」
キッと睨みつけると兵たちは後ずさりする。
ら「少しでも二本差しに誇りがあるなら、ついて来い!
責任は新撰組が請け負う!!」
そう言い捨てると、抜刀する。
「お、お前は誰なんだよ!?」
ら「新撰組、近藤らん。」
「新撰組!?女なのに?」
ざわざわして動こうとしない兵たちに踵を返すと
ら「永倉さん!この兵たちが動かないようだったら知らせて下さい。
‘副長’に知らせますから。」
副長、すなわち土方歳三。
その名前を聞くだけで大体の奴らは青ざめるはずだ。
永「おう、任せとけ。」
にやっと笑う永倉さんに一礼し、再び戦場に走り始めた。

