次の日。
お藤さんの夫正也さんが帰ってきた。
藤「正也っ!」
正「藤、ただいま。」
人目も憚らず抱きしめあってる二人。
ちょっと微笑ましいけど横にいる土方は眉間にシワをよせている。
ら「土方ー。警戒心バレバレだよ。」
こそっと耳打ちをする。
土「いいんだよ。いまは鬼の副長で。」
あからさま過ぎません?
良いのかなぁ…。
正「お久しぶりです。
土方さん。それにらんさん、初めまして。妻がお世話になっています。」
にこやかな笑みを浮かべながら正也さんは私達に挨拶をしてくる。
ら「初めまして、らんと申します。
私こそ、お藤さんには毎日教えて貰うことばかりで。」
すごい優しそうなひと。
お藤さんとお似合いって感じ。
土「江戸でのお勤めご苦労でごさまいましたな。ゆるりとお休みになられるが良い。」
なに!?
なに!?
土方が武家言葉喋ってる…。
ら「ぷっ!!
お藤さんのとこに行ってきまーす。」
このままいたら確実に大笑いしてた。
後ろでいくなよ、と土方がオーラをだしてるけど無視。
ら「お藤さーん!」
藤「らんちゃん。」
ら「正也さん、帰ってきてよかったね。」
藤「うん。おおきに。
そやけど、壬生を離れいけないし。」
ら「やっぱり引っ越しちゃうんだ。」
藤「仕方ない。うちらかて夫婦やし。
いつまでも親の所にいたないしなぁ。」
お藤さんいなくなるのはショック。
ら「うぅぅー。」
藤「まぁ、京を離れることやあらへん。
女中のお仕事はやっぱりやめようと思て。」
ら「そっかぁ。」
正「藤、ちょっと来てくれ。」
藤「じゃあ、また後で。」
行ってしまうお藤さん。
やっぱり、気になる。
土「なに、ぼーっとしてんだ?」
ら「してないもん。」
土「藤さんのことか?」
ら「うん。知ってるのかなぁ、って。」
土「どうなんだろうな。
いま、観察に探らせてるが。」
ら「じゃあ、しばらくは様子見か。」
土「そうだな。」
すると土方はふと思いついたように私も見る。
土「今度伏見にでも出掛けるか。」
ら「えっ!?」
土「あ、ほら。ここにずっといたらそんなことばっか考えるだろ?
たまには息抜きしようぜ?」
ら「やったぁー!!美味しいお蕎麦たべよう?」
土「あぁ。にしても、総司がなぁ。」
ら「すみれちゃんと結婚するんだよね!」
土「あぁ。祝言は盛大にやろうな。」
ら「おうっ!」