ボスッ…!

帰ってベッドに座り込んだ。

「…っく…っ…うぅ…」
顔に手を当てて泣きまくった。
心のどこかにあるプライドなんてそっちのけで…。

「バカだよね…。廉の…彼女でもないのに…っ」

彼女がいるなんて知らなかった。
そりゃ気づかないよね…。
廉がいつもと変わらない笑顔で話しかけてきてくれたから…。
ヒドイよ…。期待させといて―――――。

「こんなに傷つくんだったら…好きにならなきゃよかった…」

ヴーッ ヴーッ ヴーッ

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受信:To.夏帆

どうした?なんで来ないの?
急用でもあった?
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「…。」

あたしはそのメールを返信することなく、
ただただ時が過ぎるのを待っていた…。
でも…。 真実を知りたくなってしまった。

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送信:To.廉

今日はもういいよ。
彼女と一緒に食べれば?
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受信:To.夏帆

は?何言ってんの?
俺、彼女とかいないけど…
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「嘘つき…。バカ…」

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送信:To.廉

嘘つかないでよ…。
彼女いるくせに。

もう、行かないから…。
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「もう、イヤ…」

前髪をぐしゃぐしゃとかき乱す。
これ以上辛い思いはしたくない。
後悔もしたくないんだよ…。

なのに…

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受信:To.夏帆

何言ってんだよ!
俺、夏帆が来るまで待ってるから…
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なのに何で期待させちゃうの…?
キッパリフラれたいのに…。
キッパリ諦めたいのに…。

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送信:To.廉

もういいってば。ゴメンね…?
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ヴーッ ヴーッ ヴーッ
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受信:To.夏帆

夏帆、ゴメンね…?
あたしが余計なこと言ったから…。

本当にゴメン!
怒ってるよね…。

明日、放課後屋上来て?話あるから…
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「何で麗からメールが来るわけ?
 ヘラヘラしてたくせに…。
『本当にゴメン!』とかバカにしてんの!?」

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送信:To.麗

余計なこと?ウザいんだけど。
別に自分悪いと思ってないのにそんなこと
言われても、困るのこっちなんだけど。

バカにするのも大概にしてくんない?

あたしは話すことなんか一つもない。
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「はぁ…。人生、いいこと一つもないじゃん…」

プライド、プライド、プライドばっか。

「あぁっ!もう…!」

思いっきりスマホを床にたたきつけた。
―――鈍い音が部屋に響く…。

「もう、プライドなんていらない…」

そう言ってベッドに倒れこんだ後、
ゆっくりと瞼を閉じた…。

そこからあたしの記憶は途切れた―――…。